バタークッキーの懐かしい味🍪
2020 4/7 (火) ☀
【 静寂の中に居る友人のオリジナルクッキー】
10年ほど前に、ほとほと疲れていた私は、近くの牧師の家に立ち寄る事がよくあった。
その時、牧師夫人の焼くクッキーが素晴らしく美味しかったのをおぼえている。
お腹空いたでしょ?
優しいお味のバターの風味とグラニュー糖の軽い甘さ。
今よりずいぶん若かった。私も夫人も。
慣れない介護の仕事で身体は疲れきっていた。
そんな私に、彼女は労りながらもてなして下さっていた。
理想的なご夫婦。
広いリビングにいつもいる牧師はパソコンで仕事をしていて、猫は傍らで見守っているように、いつもそばにいた。
キッチンで私にお茶は?コーヒーは?
と嬉しそうに聞きながら、動き回る夫人の姿。
猫は私にも慣れてきて、擦り寄ってきては横にきちんと座っている。
夕方ですから、早く帰ろうとするのだが、結局1時間ほど話したり、聖歌を聞いたりして過ごしていた。
懐かしい風景。
娘は中学生でしたから、多分 部活を頑張っていて、友達もたくさん居て、充実した毎日を楽しんでくれてたと思う。
そう、牧師夫人とのひとときは、私にとって『部活』に似たような楽しみでもあった。
夫人の作るクッキーは、ホロッとして サクッとして、ホームメイドの優しい味わい。
彼女の作るクッキーが、食べたい😢
1度は習ったけど、同じようには焼けなかった。
🌿🌿
今回の入院は、はや1ヶ月を過ぎた・・・。
9年前の乳がんの手術は、その時ですでに数回目だった。
それから、放射線治療も、何かの定期的な治療と言っていましたが、外見は健康な時と全く変わり無く楽しく振る舞い、旅行だって行っていた。
だけど、この2月~3月には状況が変わり、飲む薬が増えていた。おそらく抗がん剤やモルヒネのような薬。
その頃は、胸水が溜まり胸が苦しくて痛くて眠れないの…と打ち明けられ、愕然となった。
それから1週間後、今回の入院に至った。
『明日までもつかどうか分からない状態』だから、家族、親戚に知らせて下さい。との医師からの告知を受け、その日家にいて連絡の取りやすい知人が、連絡をあちこちにして下さった。
私も思いつく限りの連絡を協力的に行い、病院に駆けつけた。
病室は家族以外は禁止のはずでしたが、特別に許可されました。
苦しいのか身体を海老のように丸くして、ベッドにうずくまる彼女は、私に言った、『あまりにも痛くて苦しくて、薬を入れて欲しいと言ったの…。』モルヒネの事なのか・・・。
それから、1週間は毎日病室にいき、顔をみて手を握り(生きていて欲しいと!)祈り続けた。
教会のみなさんもそれぞれ、かわるがわる訪れては励ましてくれていた。
一人ひとりの思いだけでも、エピソードが山ほど出来てしまいました。
多臓器不全に陥ったその日から、なんと三週間が経った現在は小康状態です。
もう今は、新型コロナの感染対策のため、面会禁止で会いに行く事はできません。
ところがなんと、今日うちの母に電話をかけてこられるほど、元気を取り戻しておられます!
奇跡です。
まだ、普通に食事は摂れませんし、寝たままですが、なんということでしょう。
生を延長したいという、人間の本能がそうさせるのか、緩和ケアの穏やかな時間なのか・・・。
それでもいい。精一杯生きましょう!
優しい彼女に、神様からのご褒美の時間なのかもしれません。
🍃🍃🍃
クッキーの箱をみてたら、彼女の焼くクッキーを懐かしく思い出しました。
今度こそ上手に真似して焼いてみようかな。